弱くても強くなくてはならない
強くても弱くならざるを得ない姿がそこにある
〜原作について〜
本書は韓国で2000年の春から今年にかけて160万部が売れ、今なお人気の衰えない『カシコギ』の邦訳である。タイトルのカシコギとは、日本では一般に「トミヨ」と冶ばれる観賞魚である。トミヨは雄が巣を作り、子供を育てる習性があるという。孵化した稚魚がひとり立ちするまで、巣を補強したり、外敵から身を守ったりといった、涙ぐましい努力の末、1年という短い生涯を終える。まさにこの小説の内容を暗示するような習性である。
なお、この小説は韓国でテレビドラマ化され、劇場では五ヶ月のロングラン上演を果たし、記念切手も発売されるなど、「カシコギ・シンドローム」と呼ばれる社会現象を巻き起こした。
〜あらすじ〜
白血病で入院中の息子、タウムを必死で看病する詩人のチョン。彼は幼いとき、母親は出奔、その後父親から心中を持ちかけられるという悲惨な過去を持つ。それだけに家庭と息子への思いは強かったが、妻は現実に目覚め、自らの望みをかなえるために大学の恩師のもとに走り、フランスに発ってしまう。世間とうまく折り合えず、不況で仕事も失いそれでもひとり、息子のために必死に尽くすチョン。終わりの無い過酷な闘病の中で、タウムは言う。「パパ、あとどのくらい苦しめば死ねるの。こんなに苦しんだんだから、もう死んでもいいじゃない。」
だが、奇跡的にタウムに適合する骨髄ドナーが見つかった。絶望に沈む父と子に一筋の光が差す。しかし・・。